10月４日（水）～15日（日）上映スケジュール

宮崎駿監督が2013年公開の「風立ちぬ」以来10年ぶりに世に送り出した長編アニメーション。ベルリン国際映画祭金熊賞、米アカデミー長編アニメーション賞を受賞した「千と千尋の神隠し」をはじめ、スタジオジブリで数々の名作を世に送り出してきた宮崎監督が、「風立ちぬ」公開後に表明した長編作品からの引退を撤回して手がけた。宮崎監督の記憶に残るかつての日本を舞台に、自らの少年時代を重ねた、自伝的要素を含むファンタジー。

　母親を火事で失った少年・眞人（まひと）は父の勝一とともに東京を離れ、「青鷺屋敷」と呼ばれる広大なお屋敷に引っ越してくる。亡き母の妹であり、新たな母親になった夏子に対して複雑な感情を抱き、転校先の学校でも孤立した日々を送る眞人。そんな彼の前にある日、鳥と人間の姿を行き来する不思議な青サギが現れる。その青サギに導かれ、眞人は生と死が渾然一体となった世界に迷い込んでいく。

(C)2023 Studio Ghibli

《豆腐は、人生の処方箋》

　“大豆”と“水”と“にがり”だけでコツコツ作られる豆腐のように、淡々とした日々の生活にこそ人々のしあわせがある。尾道を舞台に、高野辰雄（藤竜也）と、春（麻生久美子）の心温まる愛情と人生を描いた、父と娘の物語。

　尾道の町に店を構える高野(たかの)豆腐店。愚直な父・高野辰雄と 明るくて気立てのいい娘・春は陽が昇る前に工場に入り、こだわりの大豆からおいしい豆腐を二人三脚で作っている。2人を取り巻く昔ながらの仲間たちとの和やかな時間。そんな日常に父と娘それぞれにとっての新しい出会いの先にあるものとは………。

　父・辰雄役を藤竜也、娘・春役を麻生久美子、独り身の老婦人ふみえ役を中村久美がそれぞれ演じる。監督は「村の写真集」「しあわせのかおり」につづき、藤と三度目のタッグとなる三原光尋。藤×三原監督の職人三部作の完結作ともいえる作品となる。

(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会

《関東大震災から100年　いま見たことを、伝えたい》

　「A」「A2」「i新聞記者ドキュメント」など、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也が自身初の劇場映画作品として、関西大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件・福田村事件を題材にメガホンを取ったドラマ。

　1923年、澤田智一は教師をしていた日本統治下の京城(現・ソウル)を離れ、妻の静子とともに故郷の千葉県福田村に帰ってくる。澤田は日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であったが、静子にもその事実を隠していた。その年の9月1日、関東地方を大地震が襲う。多くの人びとが大混乱となり、流言飛語が飛び交う9月6日、香川から関東へやってきた沼部新助率いる行商団15名は次の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。沼部と渡し場の小さな口論に端を発した行き違いにより、興奮した村民の集団心理に火がつき、後に歴史に葬られる大虐殺が起こってしまう。

(C)「福田村事件」プロジェクト 2023